プリーズの拾四

「ふすま越しの息づかい」

竹吉 さん

前に住んでいた場所なのですが、そこは何となく嫌な感じのする場所でした。

ある日のことです。
夜になってもう寝ようとしていると、自分の部屋の締め切っているふすまから、人の息づかいが聞こえてきたのです。
その日はちょうど家には誰もいなかったので、これは何かヤバイものが家に来たのかと思い、ずっと息を潜めてそのなんだか分からない息づかいを聞いていました。

「ハアー……ハアー……」

最初は遠くの方で聞こえていたような感じだったのが、だんだん近ずいてきました。

「ハアー……ハアー……ハアー……ハアー……」

その息ずかいはどんどん近ずいてきて、しまいにはふすまに顔を付けているような感じになって、今にも部屋に入ってきそうな勢いでした。
あまりに恐くなってしまい、耳を塞いでいてもその息づかいは聞こえてくるので、思い切ってそのふすまを開けてみようと思い近ずいてみると、その息づかいは聞こえなくなりました。
それ以降はもう二度とその息づかいを聞くことはありませんでした。

後から聞いた話ですが、前に住んでいた人がいて、その人は寝ている時に足元に足だけの幽霊が立っていて、別に危害を加えるという訳ではないのですが、その後一ヶ月近くその様な事が続いた為、すぐに引っ越していったそうです。

自分が寝ていた場所はちょうどその幽霊が立っていた場所でした。