プリーズの拾参

「ヤ、ヤクルト」

おたわけもの さん

小学生の頃、母親の友人の御見舞に近所の総合病院に行きました。

夜の八時ぐらいだったと思います。母親たちの長話にあきた私は、病室から抜け出し、病院内を探検することにしました。
私の両親は、あまりお菓子を買ってくれなかったので、育ち盛りでいじきたない私は、二階の売店で未知のお菓子たちを眺めるのが大好きでした。
私が舐めるようにショウウィンドウを眺めていたその時、後ろの自動販売機から「ゴトン」と音が!
なんだろう、と自販機を覗いてみるとそこにはヤクルトが!!!
もちろんいじきたない私ですから、事前に自販機にジュースやお釣が残っていないかはチェックずみです。
このヤクルトは、まさに今、だれもいない、お金も入っていない自販機から出てきたのです。
私は気が動転して走って逃げ帰りました。

今思えば、自販機の故障かタイマー機能?かな、と思いますが。
あの時感じた恐怖だけは本物でした。