プリーズの九

「生き人形」

K-SYAN さん

昔、いつものように友人から依頼された「頭の無いスチールフィギィア」を創っていた時。

いつもよりも速やかに鉄が削れ、鋭い刀が創れ、気分的にノッっていた時力加減を間違い、左手の「薬指」をドリルで削ってしまいました。その時に鉄人形に血が「浸み」こみ、拭こうにも一度接合面まで浸透した血は拭き取れそうにありません。
その時、私の脳裏に、「心血を注ぐ」という言葉を思い出し、

「よし、コイツは私の傑作品だ」

と、創り欠けのフィギァアを机の引出しに置き、替わりの人形を完成させ、友人に渡しました。
それから数日後、朝起きると掌に浅い切り傷があり、傍に別に創った武者人形の人形が倒れており

「ああ、猫が机を暴れて人形を落としたな」

と考えながら人形を拾い上げると、刀と鎧に血が染み込んでいました。
その時はただ机に置き直しました。

ただ、それから数週間ごとに似たような出来事があり、夢の中で、槍や剣で刺される内容の夢を見るようになってゆきました。

そしてある日、別の夢を見た時。内容はわからないのに思わず目を見開いたその時!
目の前になにか立っており、尖った光るモノは見えました。跳ね起きようにも体は硬直して動かず。

「刺される!!」

と思った瞬間『ゴスッ!!!』と、音と共に机の上で直していたRCグラタンが落ちてきて、謎の剣士を踏み潰しました。
硬直の取れた体を立てて見直すと、謎の剣士は頭の無いヤクト・ミラージュで、以前、私が血を垂らしてしまった物でした。

この時の経験を知り合いの子(神社の巫女)に話すと明らかに「霊」の仕業と断定し、私が「心血を注いだ」人形や、血を吸った工具を供養してもらった事は言うまでもありません。
とりとめもない話ですが、今でもこの話を思い返す度に不意に眠気に襲われます。

木城先生も、うっかり血を原稿に垂らさぬ様に…。
相手がガリィさんでは勝てる者はありませんので…。