江戸川プチサイクリング of 茶房・風雲庵

江戸川プチサイクリング
江戸川サイクリングロード〜関宿博物館(関宿城)
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〜2004年5月24日〜
TEXT by 木城ツトム

すでに日記にもあるように、今月5月21〜22日に予定していた「福島UFOふれあい館」旅行が季節外れの台風ストライクによって流れてしまった。いや、そのことは全く自転車と関係ないのだが、このウップンはサイクリングによって晴らすしかなかろうという結論が出たわけである。折しも鬱陶しい雨があがった24日、これといった目的地もないまま江戸川サイクリングロードへと出発。


写真01:今月の装備


サイクリングの目的地はなかったのだが、実は今回、自転車関係の新装備を試さねばなるまい、という目的はあった。今月の我がリカンベント、OPTIMA社スティンガーにこれまでにない大改造を施したためだ。

まずは自転車本体から。クランクセット(ペダルがついてる棒と前のギア)、ボトムブラケット(左右のクランクを中心でつないでいる軸)、チェーンカセットスプロケット(後ろの多段ギア)をグレードの高いものと交換。前ギアとクランクはブラックカラーをチョイスしてより引き締まり感を強調。各パーツが軽量化しているもののすべてドライブトレイン関連のチューンナップのため、実際に走ってみないことには良さはわからない。

続いてシートを前にずらす大手術を敢行。シートの前1.5cmほど切って切り口をやすりで整え、固定ボルト用の穴を開け直して固定した。1.5cmとはずいぶんささやかだが、これはシート形状の都合でこれ以上切り取れなかったためだ。

何ゆえこのような加工が必要なのかというと、たいがいのリカンベントはライダーの身長に対応するため、一番前にあるクランク部分のフレームが本体フレームと別パーツになっていて、クランク部分を伸ばしたり引っ込めたりしてライダーの足の長さに合わせるようになっている。これが身長2メートルのオランダ人なら問題ないのだが(スティンガーのOPTIMA社はオランダのリカンベントメーカー)、身長170cmのモンゴロイドライダー木城ツトムに合わせると足が短いため、カーブする時に前輪とペダルをこぐ足が接触してしまうのである。

まことにみっともない話だが、私の足を延長するわけにもいかない。そこでシートをできるだけ前に移動させ、それに合わせてクランク位置も前に持っていくことで前輪との接触を少しでもさけようという魂胆である。結果としてはまだ完全に回避はできていないものの、旋回時の安心感は多少増しそうである。

そしてさらに前回装着していたタイヤ、パナレーサー・パセラ(20×1.5インチ/250g)をシュワルベ社のレーシングタイヤ、ステルビオ(20×1.125インチ/220g)に変更。その他サングラスやボトル、日焼け止めクリームなどなど試したいアイテムが目白押しであった。そして最後に登場するは…携帯電話である。


写真02:FOMA・P900i


私が一生持つことはないであろうと思っていたアイテムのひとつ、携帯電話。だいたい電話を持ち歩くなんて、足の裏に地雷をつけて歩くのと同じぐらいの暴挙ではないかと思っていたのだが、私も時代の波に押し流され、とうとう携帯ユーザーになってしまった。南無三。

実は細かい理由がいろいろとあるのだが、そのうちのひとつ、ノートPC用に使っていた通信端末・カードエッジの使用頻度が非常に少ない(しかしないと困る)ため、いっそのこと電話と通信を一本化したほうが合理的であろうという算段である。

しかし携帯電話については全く何の知識もなく、しかも雑誌やパンフを読んでも何が書いてあるのかサッパリわからんという絶体絶命のピンチにあった私は、とりあえず石○電機にて店員のお兄ちゃんに「ネットとカメラ機能がついてればなんでもいいや」と要望を伝えると、 FOMA900iというのを勧められた。

しかしFOMAと一口に言っても、そのコーナーには20個ぐらいブツが並んでいる。どれがオススメなのだとお兄ちゃんにと訊くと、どれも同じだと言う。どうして同じ性能のものが20個も並んでいるのか理解に苦しむが、どうやら見た目で選べと言うことらしい。要は野菜の叩き売りと一緒か。なんとなく質実剛健そうな(これほど携帯電話に似合わない言葉もなかろうが)ものを選んで購入した。

で、家に帰って来て袋の中を見てビックリ。説明書だけで8冊。マジですか。まさかPhotoshopよりは簡単なんだろうなオイ。こんなの家電じゃねーよ。どうしてこんな複雑な機器を一般人が扱えるのか不思議でならん。

で、昼飯を食いながら何気なく若者向け情報誌(グッズプレスだかベストギアだか…)の携帯電話ページを見ててまたビックリ。なんとこの電話、ファイナルファンタジー(1)が入ってたんですな。確かに良く見ると、8冊の説明書のひとつはFFのトリセツである。つーか電話にそんなもの入れるなと思ってしまうわけですが、まぁ入っていたものはラッキーとしときましょう。それにしても電機屋のお兄ちゃん、FFのことなんて一言も言ってなかったぞ。


写真03:リカンベントライダーと遭遇


さて晴天の下、江戸川サイクリングロードを北上。目的地は千葉県の最北端に位置する関宿町(せきやどまち)の関宿博物館(関宿城)に決定。特に行く理由はないのだが、とりあえずの目印として目指す。地図上ではさほどの距離とは思えないので、プチツーリングとしてももってこいだろうと思ったのもその理由だ。

新調したドライブトレインで、やはり走りは快調そのもの。軽快にロードを走っていると、散歩中の人やサイクリング中の人、時折ロードレーサーともすれ違うのだが、しばらくすると前から普通の自転車に続いて妙に平べったいモノが走って来た。なんとリカンベントである。台湾Performer社製リカンベント「SAZANAMI-8」という車種で、街乗り用として非常にリーズナブルだが私のスティンガーと違ってUSS(シートの下にハンドルがある)タイプである。ライダーはN氏という壮年とおぼしき男性で、氏も他のリカンベントライダーと遭遇したのは初めてのことだったらしい。足を止めてしばらく話をしたが、この遭遇を非常に喜んで写真を撮りまくっていた。

私もこの機を逃すまいとさっそくケータイのP900iを出して、SAZANAMIと写真撮影に夢中なN氏を激写(笑)。しかし解像度が「中」に設定されていて、画質が今ひとつ…まぁこんなもんかと割り切ることに。

この後、氏のSAZANAMIに試乗させていただいたりして、なかなか有意義なハプニングとなった。初運転のUSSリカンベントは、漕ぎ出しの軽さも相まって魔法のジュータンのような爽快感。思わず物欲がバーニングファイヤーしそうになるが、氏によると、下ハンドル車は車止めのような狭い場所をすり抜けられないことが多いそうで(その場合は自転車を担いで歩いてクリアする)、また押して歩くのもハンドルが低くて苦労するそうである。やはりどうしても一長一短はさけられないらしい。


写真04:関宿城到着


N氏と別れてしばらく走っていると、なにやらシート下でチャラチャラと金属音がする。ドライブトレインを丸々自力でグレードアップしているので、どこかに不具合があっても不思議ではない。リアディレイラー(後ろの変速機)かチェーンの調整の甘さで音を立てているのだろうと判断、そのまま走行続行(笑)。

30数km走って関宿城に近づく。しかしどうもさっきから鳴りっぱなしの金属音が気になる。止まってよーく調べてみると…原因発見!シート下のリアサスペンションを固定するボルトのナットがゆるみ、ワッシャーが音を立てていたのであった。オートバイだったら死に直結するトラブルである。冷や汗を流しながら携帯工具を出してナットを締めようとするも、狭くて工具が入らない!なんつう役立たず。困惑しつつもなんとか手で締めて関宿城に到着。

意外にも人がそこそこいたが、関宿博物館はなんと休館日。別に関宿のひみつを知りたいわけではないからいいんだが、さてゆるんだナットをどうするべきか。

閉まった入り口前で途方に暮れていると、横手に塗装屋のトラックが停めてあるのが目についた。外壁の塗装中のようだが、昼飯でも食べにいったのか職人はいない。よく見ると、モンキーレンチとはずしたボルトが無造作に路面に置いてあるではないか。渡りに舟とばかりちょっくら拝借して、リアサスのボルトを無事固定できた。塗装屋さんありがとう(もちろんモンキーレンチは元の場所に戻した。念のため)。

ところが今度は帰り道、走行中にシート下でキーキーキューキュー鳴り始めた。音からしてまたもリアサスである。リアサスのスプリングと調整リングがすれて鳴っているらしい。そういえば分解して掃除した際、グリスを塗っておくのを忘れたような…。さすがにグリスはその辺に落ちてないので、キューキュー鳴って恥ずかしいがそのまま走行。まだまだ自転車初心者であることを実感するサイクリングとなってしまった。

地図上ではたいした距離ではないと踏んでいたにもかかわらず、結局往復で66kmというそれなりのサイクリングになってしまったが、いろいろと有意義だったので良しとしよう。とにかく今回はメンテナンスと出発前の確認が大事だということを思い知った次第。