トップページ of 茶房・風雲庵

特別編:トライアンフ ボンネビル・ボバー試乗
茨城県水戸市笠原町 トライアンフ水戸

title.jpg

2019年3月30日 木城ツトム

今回は特別編として、いつものツーリング記事ではなく、よそのメーカーのバイク試乗レビューをお送りする。私は積極的に他車種の試乗をするタイプではないのだが、今回は、発表(2016年10月)から気になっていた英国トライアンフの「ボンネビルボバー」(正確には上位モデルのボンネビルボバー・ブラック)に試乗してきた。好天に恵まれたもののとにかく風が強かった3月27日、茨城県水戸市にある、県内唯一のトライアンフ正規ディーラー「トライアンフ水戸」へと向かった。

Doticon_red_Help.gifトライアンフとは?
イギリスから生まれた世界的バイクメーカーのひとつ。「トライアンフ」ブランドの設立は19世紀末でハーレーやインディアンよりも早く、現存するオートバイメーカーとしては世界でもっとも古い。ボンネビル・ソルトフラットで打ち立てたスピード記録やレース大会での優勝、また若き日のマーロン・ブランドやスティーブ・マックイーンといったハリウッドスターが作品の中で乗ったことで人気を博した。しかし1980年代にいったん経営破綻し、商標や生産ライセンスを移行して1984年に立ち上げた新生ブランド「トライアンフ・モーターサイクル」が現在まで続く形となっている。

トライアンフの現在の車種カテゴリーは、荒れ地を走る大型オフローダーの「アドベンチャー」、カウルのないスーパースボーツ(いわゆるストリートファイター)の「ロードスター」、クラシカルな英国風ネイキッドの「モダンクラシック」の3つ。今回試乗する「ボンネビルボバー」は王道クラシックスタイルの「ボンネビル」シリーズを元に、余計なパーツをそぎ落とし「ボバーカスタム」にしたプレミアムモデルだ。

クラシックというカテゴリーとは裏腹に、エンジンは1200ccの水冷SOHC、並列2気筒8バルブという最新のもの。またトラクションコントロール、ライドバイワイヤ(アクセルワイヤーを電気式にしたもの)、スリッパークラッチ(急にクラッチを切った時にタイヤがスリップしないようトルクを逃がす仕組み)、ライディングモード切り替え、ABSなど、最新機能が満載となっている(現行モデルすべて装備)。

002.jpg去年車検を通したヴィクトリー・ハイボール。久しぶりの走行003.jpg水戸市にあるトライアンフ水戸に到着。茨城県内唯一の正規ディーラー004.jpgおしゃれでキレイな店内。油臭さとは無縁の、英国バイクディーラー
005.jpg鉄板リベット留めのテーブルとイス。航空機の外装みたいでカッコイイ005_.jpg鉄板リベット留めの巨大なトランクを、接客テーブルとして使っている006.jpgボンネビルボバー。ノーマルタイプなのでエンジン・マフラーが黒くない

Doticon_red_Help.gifボバーとは?
主にハーレーのようなクルーザーバイクをカスタムする手法のひとつ。髪型の「ショートボブ」「ボブカット」の「ボブ」と同じ( =「短く切る」)で、前後フェンダーを短く切ったり、シートもひとり用のサドルシートにするなど、余計なものをできるだけ取り払うなどの特徴を持つ。同じくクルーザーのカスタムに「チョッパー(ぶった切る)」があるが、チョッパーはハンドルを高くしたりフロントフォークを長く伸ばす、またカラーもハデにペイントする傾向があるが、ボバーはフロントフォークもあまり伸ばさず、前輪タイヤも太めで「太く短く」、またカラーも地味に黒っぽくクラシカルに仕上げる傾向がある(※あくまで筆者による考察)。

ファットボブ.jpgハーレー・ファットボブ余談だが、私が現在乗っているヴィクトリー・ハイボール(2013年式)も、以前乗っていたハーレーダビッドソン・FXDFファットボブ(2009年式)も、カテゴリーで言うと「ボバーカスタム」に相当する。時をさかのぼること2006年、ハーレーは「ストリートボブ」という、現在でも人気が高いロングセラーモデルを発表した。このモデルはハンドルこそエイプハンガー(ライダーの肩くらいある高いハンドル)だが、ひとり乗りのソロシート仕様で、チョッパーほどフロントフォークが長くなかった。またボディーカラーで初めてつや消しブラックが採用されたモデルでもあり、「デニムカラー」(ハーレーつや消し色の名称。つや消しの黒は「ブラックデニム」)として現在も続いている。「ボバー」というスタイルをメーカーがカスタムモデルとして発表して世間一般に広まったのは、このストリートボブからだと思われる。

今やイタリアのバイクメーカー・モトグッツィからは「V9ボバー」、またアメリカのバイクメーカー・インディアンからも「スカウト・ボバー」というモデルが出ている。いずれもつや消しブラックのボディカラー、短い前後フェンダーにファットな前輪タイヤという特徴がある。