 | ようやく見ることが出来た。
まずはバベルを優先したので、なかなかね。
基本的には質の高い作品の部類に入るとは思うが、出来と
しては三作中最低であったと個人的には思った。
まず、これはどうしようもないのかもしれないけれど、
敵が多すぎてせっかくのテーマが分散してしまっている。
しかも都合よくばんばんと演出的な死を迎えるため「影の
軍団かよ!」と思わず突っ込みかけた。
もったいないんですよ・・・使い方が。
「よく知っているキャラを登場させる」といううわべで引っ
張るより、もっとドラマを絞り込むべきだ。
ピーターパーカーの心の闇、これをもっと俺は見れるものだ
と思っていた。
それが非常に薄い。エンターティメントとはいえ、薄い。
自分との戦いも薄い。ブラックスパイダーマンとの内面的な
戦い、葛藤なぞほとんどなく(せいぜい前髪をオシャレに
したりMJを突き飛ばしたり、大家に悪態をついただけ)、
ウガァとむしりとったらベノムは即他人のものに。
んな簡単に自己解決できるもんなの、君の葛藤は・・・
というわけで黒スパイダーマンという設定はあっさり終了。
大切なのは「ベノムが悪なのではなく、ベノムを必要とした
者の心に深い闇がある」という設定を強調することだ。
そこが弱すぎたな。
ベノムになった男もあんまりにあまり小さい。小物。
ベノムはあの話において悪そのものでしょう。
「心の闇に身を任せるのは素晴らしいぞピータァァァァ!」
というキャラでなくてはならないはずなのよ。
分かりやすく言えばベノムはジョジョで言うディオ。
ピーターのもうひとつの姿、黒スパイダーマンのなれの果て
なので、もっともっと黒い欲望が強調されてもよかった。
あれじゃその黒い欲望って言うのがタダの八つ当たりです。
乗り移った男が小物だったから仕方ないとはいえ、それは
あまりに小さいだろう。真の悪ではない。
サンドマンはもうなんか、ビルの谷間駆け巡るのも三作目で
飽きたし、派手さが足りないからとりあえず巨人出しとけ的
な理由で登場したとしか思えない存在の軽さ。
お手軽な特撮戦闘担当。それ以上の意味を感じない。
たしかに養父との関わりがあり、そのへんはよかったのだけ
ど、彼のことについて何も解決しなさ過ぎる。
「運が悪かった。それを分かってもらいたい」
「ああいいよ、許すよ」って、なんだそりゃ、と。
心の闇を克服したピーターがサンドマンに同情するのはかま
わないが、サンドマンは言い訳をしただけで何も贖罪の行動
を取っていないばかりか、死者へもピーターへも謝罪すらし
ない。
不治の病の娘にお金を持ってゆきたいというサンドマンの
思いは正しいが、そのために多くの人間を犠牲にしたのだと
いう自覚があり、罪の意識から謝罪や罪をそそぐ行為があっ
てこそ初めて許されるべきで、あれではまったく都合がよ
すぎる。「仕方がない」「運が悪かった」じゃねぇ!とパンチ
をくれてやればいいんだ、ピーター君は。
MJについては普通だった。彼女の扱いや行動には可もなく
不可もなく。
ただ強いて言うなら、個人的にはピーターへ嫉妬、無理解
への怒りからもっとハリー君とつっこんで仲良くなり、彼が
グリーンゴブリンと知っても自ら付いて行く(もちろん本当
はピーターを愛している)位の展開が欲しい。
ピーターを嫉妬させ、より深く黒スパイダーマン化を促進
させる役割ですよ。
MJの心の闇は「みんなどうして分かってくれないの?」だ。
ピーターを含め、世間も本当の彼女を見ようとはしない。
だから闇へと落ちてゆき、最後は自分を取り戻したピーター
に連れ戻される、そんな展開がよかったな。
最後にハリー君だが、ハリー君にはガッカリした。
君の復讐心はそんなものなのかね!ヌルいよ!
あと執事!余計なことをいうんじゃねぇ!
というか、言うなら一作目か二作目でいえー・・・と、誰も
が思ったのでは。
復讐心がぬるいと思うのは、信念というものにまで増幅して
いるはずの彼の憎悪が、他人の説得という安易なるもので
曲がるところにある。人間は思い込んだらたとえ新たな事実
が出てきても「都合の悪いこと」は信じないものだ。
それが心の闇というものだし、人間の弱さ。
余計なことを言った執事はあそこでハリーに殺されるという
演出がよかったな・・・期待したんだけど。
「ウソを言うな。お前には失望したぞ・・・」と言いながら
執事の腹をえぐって欲しかったよ。
最後の決戦でグリーンゴブリンが助けに来るという展開が
あるとしても、あそこで執事のフォローは要らなかった。
ピーターへの復讐心を持っているはずのグリーンゴブリンが
なぜか助けに来る。
そして犠牲となって倒れる。理由はわからない。
ただ、マスクをとったハリーは「すまなかった・・・親友」
と言い、息絶える。
こういう展開の後、お葬式で執事がピーターに告白する。
「ぼっちゃんはもう心のうちでは気づいておられたのです。
お父上の正体と、死の真相を・・・
しかしそれをずっと認めることが出来なかった。お父上を
深く尊敬するあまりに、真実を知りながらもあなたを憎もう
としたのです。
しかしぼっちゃんは最後にお父上と自らの過ちを認め、命を
かけてあなたを助けました・・・」
こういう形ならばハリー君も自発的に改心したことになり、
暗い心の闇(緑の悪魔)を克服した形になる。
そして罪の代価として死ぬ。そこに同情が生まれ、許しが
生まれる。
執事はハリーのそういった心の真意を、死後にフォロー。
これならよかった。
と、色々書きましたが、俺ならこうする的なものであり、
感想です。絶対的な評価ではないのであしからず。
でも、いいところついてるとは思いますよ。
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