| 得意技はロメロ・スペシャルのこの俺が来ましたよ。
ロメロのゾンビ(ドーン)がほかのどれとも違うのは、楽園思想
とそこを追われる人間を描いているからでしょう。
ゾンビはあの世界においてとても純粋な存在なんですよ。
むしろゾンビになった者たちの方が、あらゆるいさかいから
開放されて楽しく生きているという描写さえある。
ゾンビには悪意や打算はない。同士討ちもしない。
沼に住んでいるワニのようなもので、ただ口の前に肉を放り
込まれたら食う、それだけの存在です。
悪意や欲望によって身を滅ぼすのは人間ばかりで、同士討ち
を始めた挙句、自らワニの群れに飛び込んでゆく。
そして楽園を追われた人間は、あてどもなくさまよう。
ロメロのゾンビはホラーではなく、ホラーという舞台装置を
利用した人間のサガを描くヒューマンドラマですよ。
まあ、ダリオ・アルジェント版はアクション映画と化して
いるけどね。
※注・ゾンビ(ドーンオブザデッド)には様々なバージョンが
存在するために、観たバージョンによってまったく印象が
変わります。上の意見はディレクターズカット版にそって
います。
@日本劇場公開版
カットが多く、アクション重視でドラマがわかりにくい。
ただ、惑星が爆発して光線が降り注ぎ・・・みたいなテロップ
と設定は日本版で付けられたらしい(メテオの流用)。
ゾンビの人食いシーンでエフェクトが入る。ある意味かえって
怖い。人食い以外の残酷シーンもおおむねカット。
Aダリオ・アルジェント版
人間ドラマ部分を大幅にカットし、アクションシーンには
イタリアのバンド「ゴブリン」(サスペリアやフェノミナの
曲で有名)の曲がかっこよくかかる。
ダリオ・アルジェントはサスペリアの監督で、ゾンビのプロ
デュースをした。彼の編集したバージョンがコレ。
サクッとライトなアクション映画ゾンビ。
明るいスタッフロールはカット。
B米国劇場公開版
ロメロ本人の編集によるオリジナルゾンビ。かかる楽曲も
暗く、内容もアルジェント版と同じなのかというほど暗い。
人間ドラマが多く入っているので、サクッとホラーを観たい
人には不向き。残酷シーンも増えているけど。
明るいデパート音楽にのせてゾンビの群れがショッピング
モールを練り歩く素敵なエンディングが収録されている。
これを観ないとゾンビを観た気がしない。
Cディレクターズカット版
米国版にさらにカットを追加したロメロ編集バージョン。
人間ドラマ中心で、ドキュメンタリー色が強い。
D裏版
ファンが編集したという全部いり版。もっとも長いらしいが
観たことはない。
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