「秘湯・銃夢温泉」

「秘湯・銃夢温泉」

"water of Styx"
使用ソフト:Corel Painter X、Adobe PhotoShop CS2
制作環境:Power MacG5 2GHzデュアル、メモリ6GB、ワコムIntuos3 PTZ-630、MacOS Xタイガー(ver.10.4.10)

ウルトラジャンプ2007年12月発売号の表紙用に描いたもの。
時間節約のため銃夢LO第11巻のカバーにも使う予定である。

2007年の年末は、フィギュア付きの銃夢外伝コミックスが発売されたり、僕も参加した合作画集「Edge2 未来の侍」が発売されるなどのイベントが重なった。
そのためウルジャンでも銃夢特集をやりましょう!ということになり、7月の段階で表紙絵をオーダーされていたのである。
ありがたいことであるが、またまた構図をどうするかで頭を抱えた。
描きかける寸前まで行った別の絵が二つあったのだが、いろいろな迷いが出て没。
結局、連載作画中の落書きが元になった「水浴中のガリィ」を描くことにした。

線画はペン入れしない鉛筆線の絵をそのままスキャン。
ちゃんと清書してないので、そのままではよけいな遊びの線や、足りない線などがあってPhotoShop上で修正するのが大変だが、アナログのタッチを生かすことを念頭に置いた。

Painterで明部・中間色・暗部の色を不透明のチョークブラシでガンガンと置き、オイルパステルブラシをカスタマイズした色の出ない塗り混ぜ専用ブラシでごにゅごにゅ〜と混ぜる。
するとものの10分ぐらいでけっこう立体的なイイ感じになる。
このやり方は5月にイラストを三枚連続で描いた際に、「Edge2 未来の侍」のイラストで開眼した厚塗り技法。
昔からある油絵の技法と同じだと思うが、自分なりに体得するまでに20年以上かかった…。
orz
この効率的なやり方のおかげでガリィの部分は2日ぐらいでできた。
ガリィは色数も少ないし、今回は付属品などのオブジェクトもないため、やり始めればかなり早い。

問題は「水面」だ。
実はこういう「被写体が水とからむ絵」というものをフルカラーイラストでずっと昔からやりたいと思ってきたのだが、『水中騎士』などで何度か描くチャンスがあっても、結局技術的に難しくて避けて通ってきた。

今回は水面は逆光で反射しているイメージなので、水中の屈折した物体などを描く必要はない。
しかし水面を水面らしく描くということが難題なのは変わらない。

写真資料などをいくつか調べてみたが、イメージ通りの写真は見つからなかった。
そこではじめ、カンで水面を描き始めてみたがパースをとるのが難しく、ゼロから手描きは断念。
PhotoShopのフィルタで雲模様→クロムからおなじみの水っぽいテクスチャを作成。
色調補正→カラーバランスで明るい部分を黄色っぽく、暗い部分を青っぽく色をつけ、遠近感をつけて背景に配置。
その後Painterで暗い部分に色を足したり、塗り混ぜブラシで輪郭をなじませたりした。
波紋はPhotoShopで同心円状の選択範囲を作成、アルファチャンネルに保存しておき、Painterで選択範囲を読み出してブラシで変形させたり色をつけたりして描いた。

最後にPhotoShopで、画面上の方に黄色→赤のグラデーションのレイヤーをスクリーン合成し、透過光のような効果を出す。
ウルジャンの表紙には赤の透過光が強く出たバージョンが編集者のチョイスにより使用された。
LO11巻のカバーにはもう少し透過光控えめのバージョンを使用する予定。

製作中はタイトルが決まっていなかったが、なんか温泉に浸かっているようだったので「秘湯・銃夢温泉」というふざけたタイトルにした。
暗喩として、水は生命の象徴であり、ここではあの世とこの世の境界線、三途の川をイメージしている。
一度死んで再生してくる途中のガリィである。
英題の"water of Styx"は「ステュクス川の水」という意味。
ステュクス川とはギリシャ神話において冥界を取り巻いて流れるという大河のこと。

製作日
2007/10/22
分類
銃夢LastOrder
サイズ
47KB