「再生」

「再生」

"The Rebirth"
使用ソフト:Painter IX.5、PhotoShop CS2

銃夢LOコミックス9巻カバー用に描いたもの。
前巻に続き、ヴィルマが被写体の絵である。

一時は青姫姿のバストアップ(業界用語で、上半身をクローズアップした構図)の簡単なラフを描いてこの構図でいこうと9割方決めた。
しかしなんか気分が乗らず、三日ほど寝かしておいた。
見直してみると、やはり気に入らない。バストアップはキャラクターの表情を大きく描けるかわり、背景の情報量が減ってしまう。
銃夢LOでのポリシーとして、分かりやすいインパクトがあるバストアップはウルジャンの表紙用、コミックスのカバーイラストは背景を描きこんでその世界観をアピールするようにしている。
僕は欲張りなので、こうして「あれもこれも」といろんな条件の縛りを自分に課してしまい、その結果、構図を考えるのに毎回苦労するわけだ。

結局、エピローグ冒頭の復活直後のシーンを描くことに決めた。
上昇していくロケットをどうしても背景に使いたかったので、垂直方向にそろう構図にするため、ヴィルマを正面向きに立たせた。腕にしぐさをつけることも考えたが、変なポーズをとらせると垂直方向の構図に乱れが生じるため、ただ突っ立っているだけにした。
ヴィルマとロケットを画面中心軸から少し外して配置することで、構図的な動きを出した。
前巻も真正面構図だったが、「前編・後編」っぽい韻を踏むし、境遇や環境の変化がわかりやすいと思ったのでよしとした。

下書きで細部を詰めていく段階で、今回のコンセプトは「おっぱい」でいくことにした。

「文明復興編」を描き終えて反省点があるとすれば、ヒロインのヴィルマをもっと妖艶に、エロく描けたんではないか…という点だ。
僕は作家としてはそっち方面は淡泊だし、ファンもそんなものは望んでいないのかもしれないが、せっかくの「女吸血鬼」という設定を描き切れてなかったんじゃないかと思うのも事実。

「エロい」ということは「生命力に満ちている」と同義だし、氷河期から再生した世界というテーマとも完全に一致する。
そこでローブの胸元を限界まではだけ、逆光で体のラインが透けて見える等、自分なりにエロさを追求することにした。

フルカラーで描くという誘惑もかなり強かったが、前巻との韻を踏んでセピア調のモノトーンでいくことにした。
着色は前巻と同様、グレーで行う。

いまさらだが、Painter IXから実装された「デジタル水彩」というブラシカテゴリがかなり使えることが判明した。
Painter6までにあった使いやすい「水彩ブラシ」がPainter7以降まったく違うエンジンになってしまい、使い物にならずに困っていた。
(※詳しくは「ゆきとの書斎」→「銃夢LO2巻カバーイラスト制作過程」参照)
これは僕以外にも不満に思った人が多かったらしく、Painter IXから新「水彩ブラシ」とは別に、新たに「デジタル水彩」が加わった。
「デジタル水彩」は昔の水彩ブラシを現代風に機能強化して復活したような感じで、ふつうのレイヤー上にも描け、「乾燥」コマンドもついている。
実際に使った感じでは、軽くて昔の水彩と同じような感覚で描ける。
昔の水彩では透明度を0%にして画面の色をなじませるなどの技法ができたが、これは「デジタル水彩」ではできない。そのかわり「水ブラシ」というバリアントで同じことができる。

この「デジタル水彩」を使い、人物部分のほとんどを着色した。
背景のロケットは「油彩ブラシ」で色を置き、「ティントブラシ」でなじませるという方法で描いた。
「デジタル水彩」の性能に気付くのが遅かったためこうなったが、やり方を整理すれば「デジタル水彩」でほとんどを描くことも可能なはずだ。
線画レイヤーの上に新しいレイヤーを作り、不透明な「チョーク」でハイライトを描きこんだ。輪郭の主線を部分的に塗りつぶし、逆光の感じを強調した。

PhotoShopで噴射光のフラッシュをスクリーン合成。水面は素材集にフィルタをかけたもの。
最終的に調整レイヤーの「色相・彩度」でセピア調にして完成とした。

製作日
2006/04/27
分類
銃夢LastOrder
サイズ
41KB